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NO.11 ザクとガンダムと「私」 - つくMoでbuild
こと×プラコンテスト2021

NO.11 ザクとガンダムと「私」

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ビルダー賞受賞作品

作者名:え~

作品名:ザクとガンダムと「私」

使用キット:旧キット60分の1スケール シャア専用ザク

私は「ガンダム」が好きだ。私は「ガンプラ」が好きだ。そんな私は「ザク」が好きだ。
私は今年で42の年を数え、奇しくも一世風靡をもたらした「機動戦士ガンダム」放送と同級生だ。
今からおよそ35年前、時は空前のガンプラブーム。当時私は、やっとお漏らしを卒業した年頃だった。
自営業を営む父は、ある日唐突に「それ」を持ってきた。何と、「それ」は子供達の憧れであり、夢にまで見た「ガンダム」と「シャア専用ザク」のガンプラだった。私と兄は驚きのあまり、二人で目を見合わせたのを今でも覚えている。
しかし、そんな感動が後に私の立場と将来における価値観にさえ影響を与えるとは、父は微塵にも考えていなかったただろう。
喜びも束の間、父は兄へ「ガンダム」を、私に「ザク」を笑顔で手渡したのだ。父として、長男へガンダムの選択は当然だったのだろう。
しかし、私はガンダムが欲しかった。どれ程僕もガンダムが欲しいと言いたかったか…
幼いながらも無知ではなかった私は、産まれて初めて次男としての謙遜を無言で受け入れた。絶大な人気の主人公機、一つでも手に入れるのに相当苦労をしただろう。敵役のザクでさえ、入手が容易でなかった事は、まだ小さい私にも想像出来たからだ。
その後のことは、あまりよく覚えていない。
しかし、私はそれ以来ガンダムに限らず、あらゆるアニメキャラにおいて、自ずから敵側を選ぶようになっていった。今思えば、初めから敵側を選ぶ事で兄を立て、自尊心を防衛する苦肉の策だったのだろう。
あの時、私がガンダムを手に入れていたら人生が変わっていたに違いない。シャアザクではなく、量産型ザクだったなら、また違った人生を歩んでいたかもしれない。
今では「ザク」が好きだ。「シャアザク」が大好きだ。その気持ちに嘘偽りは無い。昔、父が作ってくれた「シャアザク」を35年の想いを込めて製作しました。