完全新規造形で発売されたガンダムMk-V。素組した感想は、完成度の高さに改めてMG(マスターグレード)というブランドの高い完成度にバンダイが目指す『つくるたのしみ』が込められている事を実感できるプラモデルだと思った。
MGは『究極のガンプラ』がテーマ。
MGの第一弾として発売されたRX-78-2ガンダムが発売されたのが1995年。それから現在に至る2022年まで27年間つづくガンプラシリーズ。バンダイとHJ(ホビージャパン)、MAX渡辺氏らが『究極のガンプラ』をテーマに掲げ企画がスタートした。
特許出願済の新機構を採用。可動構造にMGのブランド力が詰まる。
MG ガンダムMk-Vで1つの話題となったフロントアーマー。新機構が採用され、2つのアームがボールジョイントで接続されており、ひねる動きが再現できる。 当時のMGが目指した究極のガンプラとは、従来(1995年までのガンプラ)のガンプラが示す可動範囲を大きく超え、かつプロモーションに破綻がないよう設計されたガンプラであった。
それは今日も続けられており、こういった新機構をつくる事で現在も『可動』構造にこだわるMGとしてのブランドを体感できる事も、ガンダムMk-Vというキットの面白みだと思う。
設計に関わった方はかなりの好き者かも。
これは予想の話になるのですが、このキットの設計に関わった方の中にガンダムMk-V、もしくは『ガンダムセンチネル』というシリーズにかなり愛着を持つ方が関わっているのではと。
シールドにしても単なる付属品という扱いではなく、スリットもきちんと隙間が再現され、クリアパーツを使う事で内部構造が見える等の工夫がされています。
当時からガンダムが好きな方からすればガンダムMk-Vは有名なMSになるかと思いますが、2000年以降にガンダムファンになった世代からすればまだまだマイナー。そんなガンダムMk-Vをここまでの完成度にもってきた設計陣の中には、かなりの好き者が居てもおかしくないのではと。
プラモデルとしては今回が初立体化のガンダムMk-Vですが、ロボット魂や、モデルグラフィックスオリジナルガレージキットも商品化された経緯があります。今回のMGでは頭部の形状等、プロポーションについてそれらの商品もかなり参考にされているとかで、これまでのMk-Vのイメージを壊す事なく製品に落とし込んでいるあたりも、ただ新製品としてMk-Vを設計していれば、ここまでのこだわりある商品にはなってなかったかもしれません。
ガンダムセンチネル
このガンダムMk-V、そもそもなんぞや!という方も多いかと思います。名前にガンダムとついているが、本当にガンダム?ガンダムです。設定ではティターンズの依頼によってオーガスタ研究所で開発されたガンダム。準サイコミュが搭載され、系列機にサイコガンダムやドーベンウルフ、シルヴァ・バレト等が存在します。登場したのは『ガンダムセンチネル』で、Ex-Sガンダムと激戦を繰り広げました。たしかにマイナーと呼べるMSですが、ゲーム等の媒体でも取り上げられるようになり、徐々に認知されるように。
ガンダムであるが、主人公と敵対する組織『ニューディサイズ』にて運用されている設定から、ガンダムっぽくないようにデザインされた経緯があったり。今でも独特な形状のフェイスですが、当初はクィン・マンサのような形にデザインされていたとか。
余談ですが、『ニューディサイズ』は新選組を英訳したもの。
もはや定番?スラスター連動可動
ふくらはぎと両足側面についているスラスターは、膝の2重関節に連動してしっかり曲がる構造となっています。ここ最近ではよく見る構造になっていますが、関節部のデザインをここまで保ちながら、これだけの可動範囲を実現させる事は、どれだけ見ていても惚れ惚れします。
ガワラ曲げ
肘に何気に再現されている『ガワラ曲げ』もファンには嬉しいポイント。これは言葉で説明すると肘が関節軸に対して垂直の方向に曲がる機構。
わずかにしか動かない箇所で説明が難しいのですが、この動きがあるおかげでライフルやサーベルを自然に構えることができます。小さい可動ですが、有ると無いではポージングの見た目が大きく変わります。
ディテールは少なめ?
昨今のRG等、ディテールが多いデザインを見慣れていると表面(青い外装部)が少し平面的な気がします。完成時はかなりの大型キットだけに、個人的な好みで言えばもう少しディテールがあっても良かったかと。ただ、あまりディテールが多すぎても他のMGと並べた時に違和感が強くなるかもしれませんね。
とはいえ、白いライン部分がMG的な解釈によって別パーツ化されているので、これぐらいがちょうど良いとも言えます。
おすすめ度☆5
そもそもガンダムMk-Vがキット化されたというだけでポイントは高いのですが、オプションパーツ、可動、プロポーション等、かなり高いレベルでまとまっていると思います。
つくMoでbuildでもディープストライカーがMGで商品化された時は、ガンダムMk-VもRE(リボーン)シリーズで商品化されると予想していました。が、蓋をあけてみればまさかのMG。正直そのパーツ数の多さから、購入してからもつくるのにちょっと二の足をふんでいました。しかし、パーツが大きいのでゲート処理もスムーズにでき、意外にサクッとつくる事ができました。
昔からのファンからすると、小説版とは脚部の形状等、デザインが変わっている部分もあるので、そこはどう料理するかになってくると思います。
REシリーズが消えかかっている事を考えれば、MGでちょっとマイナーMSがこれだけの完成度で展開される事に、MGのこれからのラインナップに大きな期待を寄せずにはいられない、そんな楽しみを増やしてくれるガンプラでした。