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NO.19 本日貸切 シャア専用おでん屋 - つくMoでbuild
こと×プラコンテスト2021

NO.19 本日貸切 シャア専用おでん屋

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つくMo賞受賞作品

作者名:ミズノ屋

作品名:本日貸切 シャア専用おでん屋

使用キット:風物詩おでん屋 ガチャーネンフリーゲ

宇宙世紀0090、ある日の夕暮れ、日本と呼ばれた地域。真紅の作戦服に身を包んだ一人の男が降り立つ。約束の時間には間に合わなかった。気乗りのしない会合だが、部下たちが自分のために催した会である。まずは非礼を詫びなければならない。が、視界に入った初めて見る店舗形態に戸惑いながら口を開く。
「遅くなってすまない。今日はここかね?」
「お待ちしてました。さっこちらですよ、大佐!」
赤いベレー帽の男が答える。規則を重んじる軍の中においてはくだけた雰囲気の男だが、礼を失している訳ではなく親しみやすさを与えている。カナリノ=セッタイスキー軍曹。重要な会合には必ず召喚されていた、外交のプロフェッショナルだ。
「大佐はよしてくれないか?私はもうジオンのシャアではないのだから。」
「失礼いたしました。ですがそうもまいりません。お偉方も私らも、貴方にもう一度戦ってほしいと思っている。だからこうしてお誘い申し上げている訳です。」
この男のこういうところが嫌いでは無い。自分に生半可なへつらいが通じないところを理解しているからこそ、真っ直ぐに言葉をぶつけてくる。そして同時に今の自分がまだ、総帥としてネオジオンを背負えないことも知っている。今最も必要なのは時間であった。贖罪、怒り、期待、責務、あらゆるものを背負い再び闘うことはまだできなかった。カナリノは全てを知っているからこそ定期的な会合を開き、上の圧力からシャアをも守りながらただひたすらに再び総帥として立つ日を信じて待っている。シャアにはある予感めいたものがあった。いずれ自分は再び立つのだろう。この男のために。
(部下に守られていると知りながら、それに甘える男が総帥とは‥これではまるで道化だな。)
自嘲気味にシャアがふっと笑みをこぼす。
「何か?」
カナリノが見透かした瞳で反応する。これだからこの男は嫌いではない。