奇跡のソフビキットがプラモデルで蘇る。PLAMAXサーバイン!約30ぶりの商品化へ。

 今から約30年前、衝撃を与えたソフトビニールキットがありました。それはこれまでのソフトビニールキットの常識を打ち破り、シャープな造形と細やかなディテールを纏ったサーバインでした。

ソフビキットからプラモデルへ。30年の想いをのせる。

 プラモデルへ転化させるにあたり、ソフビキットのパーツを3Dスキャンし、150mmのサイズに落とし込んだのがこちらのサーバイン。最新技術を導入する事で、薄くなりがちなエッジや、細かいパーツもしっかり調整されての商品化。

サーバイン

 1983年から放送されたテレビアニメ、『聖戦士ダンバイン』の後日談としてOVAにて映像化された『New Story of Aura Battler DUNBINE』に登場する、オーラバトラー。テレビアニメ序盤で活躍した、主人公の機体(オーラバトラー)ダンバインのプロトタイプとされています。

サーバインを知るために抑えておきたい二つの媒体

 まず一つは、上記で紹介したOVA作品『New Story of Aura Battler DUNBINE』。そして、出渕裕氏によって雑誌連載された『オーラファンタズム』にもサーバインは登場します。

 出渕裕氏が独自のダンバイン像をつくりあげ、雑誌にて連載。OVAのNew Story of Aura Battler DUNBINEは、テレビアニメのダンバインの世界観というより、実質的にこちらの『オーラファンタズム』の世界観で映像化されています。サーバインが、『出渕版ダンバイン』と呼ばれた所以でもあります。このオーラファンタズムに登場するサーバインに、まだガレージキットメーカーだったMax渡辺氏率いるマックスファクトリーは強く惹かれたそうです。そして総力をかけて完成したのが、『奇跡のソフビキット』と称賛された約30年前のサーバインでした。

生物をパーツとして使う設定

 ここからはプラモデルをみながら、サーバインやオーラバトラーと呼ばれるマシンについて触れたいと思います。

 オーラバトラーと呼ばれるマシンは、主に恐獣とよばれる生物と機械を組み合わせて生み出される人型兵器。そのため、オーラファンタズムに登場する各オーラバトラーは、アニメに登場するオーラバトラーより、この『生物』の部分を強調したデザインが各所にみられます。このプラモデルのサーバインも、生物的な部位が綿密につくり込まれています。目元にある生物の一部を彷彿とさせる部位と、機械のデザインとが見事に融和しています。オーラバトラーは、生物と機械が融合した兵器だと感じさせてくれるパーツだと思います。

 足(緑色部)はもろに恐獣のデザインになっています。昆虫のような脚部と、爪を連想させるデザインになっており、サーバインの騎士的な装甲デザインと違ってかなり印象的になっています。

 腕を良くみると、下部はざらっとした凹凸があり、上部はツルっとした感じで、装甲の表現に違いがみれます。

 オーラバトラーのキャノピーは、恐獣の甲殻を磨きあげたもの。そのためか、これまで立体化されてきたオーラバトラーも、キャノピーは透明プラ等を使って再現される事が多いようです。設定的なことですが、このキャノピーは甲殻を磨きあげる事で、強度の確保とマジックミラーのような効果があるそうです。外からだとコクピット内部がみえない為、透明やクリアー系以外の塗装で完成させる方も多いです。

オーラー・コンバーター

 オーラ・コンバーターは、背中に取り付けられた大きなバックパック。オーラバトラーの要であり、デザインにおいても特徴的なものが多いです。こちらも『飛空獣』とよばれる獣を使用しているためか、鋭利な牙のようなものが複数並んでいます。黒の透明パーツで再現。

モデラーの技量が試される?オーラバトラーの羽!

 このオーラ・コンバーターから、昆虫のような羽がとりつけらています。サーバインをつくる上で、この羽をどのように仕上げるか。ダンバイン等、オーラバトラーをつくる時、この羽をどのように仕上げるのか、当時からオーラバトラーをつくるモデラーの技量とアイデアが試されるパーツでした。

乱獲され、個体数が激減した恐獣

 恐獣は物語の舞台となる、バイストン・ウェル全土に広く分布しているそうです。甲羅や羽、爪や牙はもちろん、脳幹や神経等、身体のほとんどをオーラバトラーを含むオーラマシンの製造に使用され、残った部分も食用に。動乱の時代のせいもあって、かなり多くの個体が乱獲されたそうです。

盾に施された装飾の女性像

 この女性像が一つの製品と言えるぐらいのクオリティーになっています。

 パーツはしっかり分割されていて、女性像は指先でつまめるほどのサイズですが、かなりつくりこまれています。この女性像で敵の攻撃を防ぐのかぁぁぁ。思わず盾を引っ込めそうです。

 盾の裏面もしっかりディテールがほどこされています。この盾も塗装によって様々な表現ができそうです。

固定モデル

 プラマックスのサーバインは細かいディテール、エッジが効いたパーツ、有機的なラインで面が構成された、固定モデルならではのプラモデルとなっています。どの角度からみても見ごたえがあるプラモデルで組み立ても簡単でした。ただ、昨今のプラモデルのように色分けがされている状態ではないので、フルカラーを望む場合は、塗装が必要になります。そういった意味では中級者から上級者向けと言えるプラモデルかもしれません。脱初心者を目指す方には、もってこいの素材だと思います。

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