2022年3月3日(木)から8日(火)にかけて箱庭作師すこっつぐれい氏による『フレームアートとミニジオラマ展』が吹田市アトリエリトルにて開催されました。
誰でも気軽に入場できる気さくなコンセプトの同展には、すこっつぐれい氏の作品に魅せられ連日多くの方が訪れました。
箱庭作師すこっつぐれい氏
ホビージャパンやアーマーモデリングの作例記事を担当する他、サントリーモルツ秋味のCM用ジオラマ、映画のジオラマ作成、オレゴン州観光局州観ジオラマ作成等、企業案件もこなす。「グラウンドアートはすこっつぐれい氏に任せておけ」と言われる実力派。
どこまでも気さく!
この展示会、なんと全作品に触れるのOKでした!普通はありえないコンセプト。プロの作品を手に取って間近で観る事など、そうそうありえない。
入口の扉も常時解放され、こういったギャラリー空間特有の敷居の高さは無く、道行く人がフラッと入れるぐらいでした。
昭和をモチーフにした題材が人気
すこっつぐれいさん曰く、普段モデリングから遠い様な方には、昭和をモチーフにした作品が人気とのこと。ノスタルジックで、一目でわかりやすい事もあり、作品を観ながら昔語りに花が咲く事もあるそうです。
室外機が並ぶ作品で特に注目してほしいのは背景灰色の壁面。うっすらめくれている等、独特な劣化具合がしっかり表現されています。ただの壁ですが、ぬかりなく造り込むことで、室外機の存在が際立つ結果となっています。
360度楽しんでほしい!
先ほど全作品触ってOKと説明しましたが、これには氏が『作品を余すところなく楽しんで欲しい』という想いがあるそうです。実際、触れる事で、普段気になるジオラマの後ろ側もしっかり観る事ができます。
あわや転落?行軍中の事故!
橋が腐っていたのか、足を踏み外したのか、行軍中の兵士が川に転落しそうになっています。
こういったジオラマにはツクリテの想像力が必要不可欠。1つの作品にどんなストーリーがあるのか明確にする事で製作できると氏は語ります。
今までプロとして活躍なさっている方はみんな同じ事をおしゃっています。どんな作品にもバックボーンをどれだけ想像し膨らませるか、作品づくりにおいてかかせない重要な要素とのこと。
チロヌップの森
個人的に好きな作品がこちらのチロヌップの森。静かな森の日常と木々の生命力を感じます。
すこっつぐれい氏曰く、「森の中の木々は日々、日照権を争っています。木は少しでも日の当たる場所を求めて自身の枝葉をぐんぐん伸ばしていきます。」左右の木が自然に覆いかぶさっている事で、森という空間を見事に演出しています。
このジオラマには3匹のきつねがいます。2匹のきつねの夫婦と写真奥にうっすらみえている1匹。どうやらこの1匹はふられちゃって2匹を羨ましくみているそうです。そんな森のあるあるがこのジオラマには配置されています。
フレームアート
額縁の中に立体化された景色を再現するフレームアート。こちらも見どころが多い作品ばかりでした。先ほどの昭和作品もフレームアートと呼ばれる作品です。立体物特有の奥行あるデザインは、絵画とは違った楽しさが、見る側にも作る側にもあります。
他展示作品紹介
最後にもう少しだけ、展示されていた作品を紹介します。
作品を通してここが凄い!と思った事は、ジオラマに配置されている物に不要な物が一切ないと感じました。ストーリーを想像する事に最低限の物だけ選び抜かれて配置されています。これは非常に難しい事で、『何を置き何を省くか』は製作以上にセンスが問われます。ジオラマ自体のサイズが大き過ぎても無駄に配置物が増え、逆もまたあり得ます。
すこっつぐれいさんと実際にお会いして、気さくで親切な人柄に触れる事ができた事で沢山の物をいただいた1日となりました。